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薬局継承のポイント

調剤薬局の譲渡・売却を成功にむけて、
より交渉を有利に進めるための「4つの秘訣」と、
最低限抑えておくべき「8つの確認事項」をそれぞれご紹介します。

薬局譲渡成功に向けて
押さえておきたい4つの秘訣

  • 01 条件の優先順位は明確にしておく。

    譲渡金額、時期、譲受企業の規模、従業員の引継ぎ希望有無など、優先順位とこれだけは譲れないというポイントを明確にしておきましょう。

    譲受先の選定についても、
    ・金額提示が高いお相手
    ・ご自身の譲受後のキャリアが積めるお相手
    ・働かれている従業員の待遇が良くなるお相手
    などの様々な条件が考えられますが、会社や事業・従業員・利害関係者の方々を考えたとき、どのような形で事業を譲渡するのが一番良いのか判断して頂く事が大事になってきます。

  • 02 地域住民からの評判を良くしておく。

    地域住民の評判で収益が左右される場合もあるので、評判のよい薬局運営を心がけましょう。特に、口コミサイトに一度ついてしまった悪評はなかなか取り消すことができません。

    買い手側からの心証を悪くしないためにも、常日頃からできる限りのカスタマーサービスを心掛けて運営されることをおすすめ致します。

  • 03 薬剤師の人数はしっかり確保しておく。

    まず、1日あたりの処方箋枚数に対して40枚につき1名の薬剤師人数基準を満たしているかチェックしておきましょう。

    また、枚数の多い薬局の場合は薬剤師、調剤事務一人当たりの負担が大きすぎていないか確認する必要があります。

  • 04 不利な条件も早めに伝える。

    不利な条件だからと言って隠しておくと、それが原因で交渉が長引いてしまうなど、売り手・買い手双方にとってメリットがありません。

    デューデリジェンスの際に必ず分かることですので、例えば退職予定者がいる等のマイナス要素は、早めに伝えるようにしましょう。

薬局譲渡のその前に
把握しておきたい 8つの確認事項

誰に継承するのか

A. 親子間で継承

親族がいる場合、親族への継承が最初の選択肢になります。親族がいる場合は、親族に薬局を継承する意思があるかどうかを早めに確認されることをお勧めします。

なぜ早めの確認が大切かというと、親は親族に継承しようと考えていても、親族に継承する意思がなかった場合、すぐに他の後継者を見つけることができず、閉局せざるをえなくなってしまう可能性があるためです。

B. 従業員への継承

親族に後継者がいない場合、薬局に勤務している役員や従業員へ薬局を継承することが次の選択肢になります。

C. 第三者継承

親族に後継者がいない、従業員に継承の意思が無い場合、第三者に継承することが次の選択肢になります。

薬局継承のメリットとデメリット

譲渡側

メリット
  • 譲渡対価を得ることができる
  • スタッフの雇用を継続することができる
  • 患者を引き継ぐことができる
デメリット
  • 経営理念や経営方針が変わってしまう可能性がある
  • 譲渡する過程において複数の資料を用意する手間がかかる
  • 譲渡までに時間がかかる可能性がある

譲受側

メリット
  • 患者を引き継ぐことができる
  • スタッフを引き継ぐことができる
  • 開業資金を抑えることができる
  • 銀行融資が受けやすい
  • 薬局が地域で既に認知されている
デメリット
  • 建物や分包機など設備が老朽化している
  • 開局場所が自由に選べない

後継者探しの前に

仲介会社に薬局継承の依頼をする前に、下記の項目を予め確認・整理しておくことでスムーズな薬局継承が実現できる可能性が高くなります。しかし、事前に下記項目すべてを整理するのは難しい場合もありますので、その際は弊社アドバイザーが売主様と相談しながら各事項を整理、確認させていただきます。

  1. 家族への相談及び薬局継承に関する家族間の合意
  2. 親族へ継承意思の確認(親族がいる場合)
  3. 譲渡希望時期はいつ頃か?
  4. 後継者に求める資質や人柄、その他希望する条件はどのようなものがあるか?
  5. 不動産は売却か?賃貸か?の方針(不動産所有の場合)
  6. 役員借入金及び役員貸付金の清算(法人の場合)
  7. 未払い金、未収金の清算
  8. 遊休資産の整理(保養所等の不動産やゴルフ会員権など)
  9. 薬局の強みと弱みの把握と整理(今後の増収要因及び減収要因)

譲渡スキームの種類

事業譲渡か株式譲渡の方法があります。個人事業主の場合は事業譲渡になり、法人の場合は株式譲渡か事業譲渡のどちらかになります。

運営形態 譲渡スキーム 譲渡対価の
支払い方法
権利義務及び資産の引継ぎ
個人事業 事業譲渡 事業譲渡代金 譲渡契約において個別に取捨選択が可能
法人 社員/役員入替 役員退職金※1 包括的に継承

法人譲渡と事業譲渡の違い

事業譲渡は個人事業の薬局だけでなく、法人が運営する複数の薬局から特定の薬局を譲渡したい場合や、法人は親族が継承し、薬局のみ事業譲渡したい場合、法人の資産負債の整理が困難な場合など、事業譲渡により薬局を譲渡することが可能です。株式譲渡と事業譲渡にはそれぞれ下記のような特徴や違いがあります。

運営形態 譲渡スキーム
事業譲渡
  • 譲渡対象資産を任意選択することが可能
  • 負債引継ぎが無いため簿外債務リスクが無い
  • 雇用主が変わるため、スタッフの雇用契約引継ぎは無く、スタッフは継続契約する場合は新たに雇用契約を締結する
  • 不動産賃貸借契約、リース契約等の引継は原則行わず、譲受側が相手方当事者と新たに契約を締結する
  • 保健所、厚生局の申請手続きは廃止、新規となる
  • 複数施設を運営する法人から薬局ごとに切離して譲渡可能

事業譲渡対価と譲渡資産時価の差額は利益となり、他の所得と合算して総合課税

法人譲渡
  • 法人が保有する資産及び負債をそのまま引き継ぐ
  • 負債も引き継ぐ為、簿外債務リスクがある
  • 法人が雇用主であるため、スタッフの雇用契約は原則引継ぎ
  • 契約当事者は法人であるため不動産賃貸借契約、リース契約等の権利義務は引継ぎ
  • 行政手続き等の諸手続きが簡易

出資持分譲渡額から当初出資持分額と必要経費を引いた譲渡益に対し分離課税にて課税

開業形態による継承方法の違い

薬局の開業形態が不動産所有か、あるいはテナント賃貸かによって継承の方法は異なります。また不動産を所有している場合においても、所有者が経営者個人所有か法人所有かによっても継承方法は異なります。それぞれのケースにおいて下記のような継承方法の選択肢が考えられます。


A. 土地建物は個人所有となっている薬局の場合

不動産所有者 = 譲渡側経営者個人 → 個人事業

不動産を売却する場合

メリット
  • まとまった資金が入る
  • 譲渡後の建物維持管理が不要
デメリット
  • 継続的な家賃収入が入らない
  • 自宅併設の場合、自宅を引っ越す必要がある

不動産は賃貸し薬局事業のみ譲渡 ※1

メリット
  • 継続して家賃収入を得ることができる
  • 不動産を子供に相続できる
デメリット
  • 薬局継承後も不動産の維持管理を行う必要がある
  • 固定資産税など維持費がかかる

※1 自宅併設の場合、薬局専有部分のみ賃貸することが可能です。


B. 土地建物は個人所有となっており法人へ賃貸している場合

不動産所有者 = 譲渡側経営者個人 → 法人へ賃貸

法人・不動産共に譲渡売却する場合

メリット
  • まとまった資金が入る
  • 譲渡後の建物維持管理が不要
デメリット
  • 継続的な家賃収入が入らない
  • 自宅併設の場合、自宅を引っ越す必要がある

法人のみ譲渡し建物は賃貸する場合

メリット
  • 継続して家賃収入を得ることができる
  • 不動産を子供に相続できる
デメリット
  • 薬局継承後も不動産の維持管理を行う必要がある
  • 固定資産税など維持費がかかる

C. テナント賃貸の場合

不動産所有者 = 第三者オーナー

特徴
株式譲渡
  • 法人名義で賃貸借契約を締結している場合、賃借権、預入敷金を含め権利義務がそのまま引き継がれます。ただし賃貸借契約において法人代表者の変更に伴う規定が定められていることがありますので、事前に契約内容の確認を行う必要があります。
  • 経営者や親族が連帯保証人になっている場合、薬局継承に伴い連帯保証人の変更を行います。
事業譲渡
  • 前経営者は賃貸借契約を解約し、新経営者が新たに建物所有者と賃貸借契約を締結します。
  • 薬局継承に伴う賃貸借契約の再締結には建物所有者の同意が必要になりますので、薬局継承の後継者が見つかったら、建物所有者に賃貸人変更可否の確認を行う必要があります。
  • 契約名義人の変更に伴い、建物所有者から譲渡側の経営者へ敷金は返還され、譲受側が改めて建物所有者に敷金を預け入れます。

譲渡価格の算出方法

事業譲渡の場合

事業譲渡価格 = 譲渡資産(※1)の時価 + 営業権(※2)の時価

※1
譲渡資産とは薬局の事業を行ううえで必要な引継ぎ資産のことです。
例)医薬品、内装、分包機、レセコン、什器備品など
※2
営業権とは、薬局の来局患者や地域での信用など目には見えない無形の財産価値のことで、営業権の評価額は薬局の経営内容により異なります。

株式譲渡の場合

株式譲渡価格 = 法人所有資産(※1)の時価 + 営業権(※2)の時価

※1
法人所有資産の時価評価は、保険積立金や有価証券、不動産など法人所有資産に含み益および含み損がある場合、時価評価額に修正します。また一方で退職引当金、未払い賞与など債務計上されていない簿外債務がある場合はそれらを債務へ計上します。
※2
営業権とは、薬局の来局患者や地域での信用など目には見えない無形の財産価値のことで、営業権の評価額は薬局の経営内容により異なります。

薬局継承に伴う行政手続き

薬局継承に伴う行政手続きは、薬局の運営形態が個人事業か法人かによって異なります。個人事業、法人それぞれの運営形態により下記の行政手続きを行う必要があります。また行政手続きは行政書士及び司法書士の有資格に依頼して手続きを行う必要があります。

事業譲渡の場合

申請窓口 申請内容 添付書類
保健所
  • 廃止届(前経営者)
  • 開設届(新経営者)
  • 建物周辺見取り図
  • 建物平面図
  • 薬局平面図
  • 薬剤師免許証
  • その他新規開設書類一式
厚生局
  • 保険医療機関廃止届(前経営者)
  • 保険医療機関指定申請書(新経営者)
  • 上記と同様の書類
  • 店舗賃貸借契約書

株式譲渡の場合

申請窓口 申請内容 添付書類
法務局
  • 登記事項変更(代表者及び取締役)
  • 株主総会議事録
保健所
  • 変更届出書
  • 履歴事項全部証明書
厚生局
  • 保険医療機関届出事項変更届
  • 履歴事項全部証明書

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