継承開業について
クリニックの譲受・継承が増える社会的背景や、
継承開業のメリットやデメリットについて詳しく解説しております。
1.
継承開業がいまなぜ
増えているのか?
継承開業は時代にあった開業スタイルであり、その背景となっているのは医師(とくに開業医)の高齢化です。
厚生労働省(以下、厚労省)のデータによると、1975年のクリニックの開設者・勤務者の平均年齢は54.4歳でしたが、2014年には59.2歳に上昇しています。深刻なのは年齢の内訳です。およそ40年前には30%に満たなかった60歳以上の割合は44.5%に増加し、そのうち70歳以上のみの割合をみると、9.1%から18.8%に増加しているのです。
勤務医と違い、開業医には定年がありません。体力が続く限り、生涯現役で奮闘している開業医がいる一方で、ハードな日々の業務に引退を考える医師も少なくありません。なかには自身の健康面の問題などから、事業の継続が難しくなる場合などもあるでしょう。子どもや兄弟など、身内に後継者がいればよいのですが、そうした背景がある医師ばかりではありません。開業医の高齢化が進んでいくなか、引退を考えながらも「(閉院したら)患者さんやスタッフはどうなる?」の一心で診療を続ける開業医の割合は、今後一層増えていくことが考えられます。
2.
深刻さを増す
後継者不在問題
医療業界における後継者不在問題は年々深刻さを増してきています。
厚生労働省が平成30(2018)年に行った「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」の統計によれば、診療所の医師の平均年齢は60.0歳となり、60代以上の医師の割合が49.8%とほぼ半数を占めていることがわかります。
勤務医と違って引退時期を自分で決定できるため、生涯現役、という開業医も少なくないといいます。 しかし、とくに地方のクリニックは、その土地の多くの人たちが「町のかかりつけ医」として信頼している場合も多く、継承問題は地域にとっての大きな問題にもなってきます。
日本医師会総合政策研究機構(日医総研)ワーキングペーパー「医業承継の現状と課題」(2019年発表)によれば、後継者不在率(正確には後継者未定の割合)は無床診療所において89.3%、有床診療所において79.3%、診療所全体では86.1&と極めて高い割合であることがわかります。 さらに、地方別にすると、東北・北海道における不在率は92.0%を示しています。
ここに新型コロナ禍における診療所の経営難が加わるため、さらに後継者を迎えることが困難となってきています。
3.
第三者医院継承という
選択肢
クリニックの新規開業では、資⾦調達、開業地選定から確保、設備の準備、⾏政への⼿続き、ホームページの作成、スタッフの雇⽤などやることは多岐にわたります。
そうしたことから、継承開業を希望する医師が増えています。継承をすることで、初期投資の削減、既存患者の引継ぎ、既存スタッフの引継ぎ、医療機器等設備の引継ぎなど多くのメリットがあります。開業医の高齢化が進み、多くのクリニックで世代交代の時期を迎えています。中には後継者問題に頭を抱えているクリニックも多くなっています。
またここ数年、経営難にある医療機関が企業経営の手法を取り入れて業績を改善したり、他の医療法人が買収して再生させる、M&A(Mergers and Acquisitions)のような手法も注目されてきています。
こんな先生に継承開業は最適です
「事業拡大をしたい」
医療法人の事業拡大を考える経営者様にとって、M&Aは最も有力な選択肢となります。
地域参入障壁などの規制を回避することができ、設備投資などのコストも抑え、医師や看護師などの人材も同時に確保できるのはとても魅力的です。
また、新規事業としてクリニック・病院運営を考える場合も、素早く人材とノウハウを得られるM&Aが近年注目されています。
「開業費用を抑えたい」
継承開業の場合は、患者さんを引き継ぐことができれば、立ち上がりから一定の収入を見込めます。診療所が地域ですでに認知されていることも大きなメリットです。
コストに関していえば、例えば内装をリフォームした場合、新規に比べて3割くらいに抑えることができます。継承物件の見極めや契約内容の精査、書類の届出等にあたっては、それぞれに留意すべき点がありますので、継承開業の支援実績が豊富なコンサルティング会社に相談されることをおすすめします。
「短期間で開業したい」
譲渡されるドクターのリタイア時期や物件の状態にもよりますが、すでに建物があるため、早いものでは契約合意して3か月で開業、というケースもあります。 とはいうものの、現在の勤務先を退職する際に、医局への通知や後任医師の招聘で思いのほか手間取ることもありますので、4~6か月程度が妥当でしょう。
それでも、一般的にテナントでの新規開業の場合は不動産契約してから6か月、建物から建てる場合は1年くらいかかることから、比較的短期間で開業できるといえます。
継承開業・新規開業
どっちがいいの?
メリット・デメリット
新規開業の場合
メリット
- 自分の好きな物件、エリアで開業できる
- 一から内装の設計ができる
- 医療機器や設備を自由に選ぶことができる
デメリット
- 開業までに多額の費用と時間が掛かる
- 開業後も収支が黒字になるまで時間がかかる
- 開業資金調達の審査が厳しい
継承開業の場合
メリット
- 患者を引き継ぐことができる
- 設備投資等の初期費用を抑えられる
- 資金調達が比較的容易である
- 既存スタッフを引き継げる
デメリット
- 内装や医療機器など設備が老朽化しており、早期に設備投資が必要になることがある
- 営業権がかかる
- 既存スタッフとの人間関係の構築に時間がかかる
- スタッフや患者に前院長との比較をされる
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